「うねり取り」をやってみたい。
でも、職人的な判断なんて、身につける自信がない……。
うねり取り売買のハードルを、グッと下げる方法があります。
うねり取りを目的に機械的な判断を行う、「中源線建玉法」(ちゅうげんせんたてぎょくほう)です。
この手法を紹介しながら、うねり取りの本質、売買(トレード)のコアな部分を考えていきましょう。
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Contents
後編 ~うねり取りを実践する機械的判断方法がある~
1.逆行でトレンド転換を判断
上がる銘柄を見つける、あるいは、見ている銘柄の買い場を見つけるためには、なにがポイントでしょうか?
観点を「値動き」に絞ったとき、「下がったから買い」という判断があります。
間違ってはいませんが、「以前よりも安くなった」というだけでは、ふだんの消費活動(買い物)の理屈を当てはめているだけです。株を買う場合は、過去より高いか安いかではなく、「将来、上がるかどうか」だけが問題です。
株価が下がり、安値で動きがなくなった──「下げ止まった」「こんどは上がる」と判断すれば、安値圏で仕込むことに注力しますが、「再び下げに向かう」(下げトレンドがつづく)可能性もあるのです。
この課題を解決するのが、「カッコいい逆張りなんて捨てよう」という発想です。
難しい場面でデリケートな判断を下し、絵に描いたように安値を拾う──こんなことを求めずに、「上がりかけてから出動しよう」と考えるのが、中源線建玉法(ちゅうげんせんたてぎょくほう)のロジック(ルール)です。
株価が下がっても、下げのスピードや下げ幅などを基準にせず、継続していた下げトレンドが終了して“しっかりと上向きに動いた”ことを確認してから買いはじめる、ということです。
身近のものに当てはめると……
「停車していて“いつ動くかわからない”電車には乗らない。もしかしたら反対方向に動くかもしれないから。その電車が、想定した方向に動きはじめたら飛び乗る」
こういうイメージです。
いささか無理やりなたとえですが、理解してもらえるでしょうか。
値動き図で説明すると、以下のとおりです。
2.当てることを放棄する
株価の先行きを「どうやって当てるか」──相場の実践論では、この度合いを下げます。その分、「やり方」(値動きに応じてポジションを変化させる行動)にエネルギーを振り向けます。
「中源線建玉法」も、こうした実践論をベースにしています。
機械的な判断をもとに常に3分割でポジションを増減させる対応は、ある意味、「予測を当てることを放棄している」といえます。
ちょっとビックリな表現かもしれませんが、多くの投資家が「当てる」ことに固執して迷走しているのが現実です。当たる情報を探し求め、いつでも「誰の予測が当たるかを、見事に当ててやろう」というムチャな試みに多大なエネルギーを費やすのです。
この説明だけで「中源線には価値がある」と主張するのはムリですが、必然的に負けてしまう“平均的”なマーケット参加者と、思考のベクトルが正反対なのはたしかです。
3.しかし、確固たる前提がある
「当てることを放棄している」と述べましたが、実践するうえで「当てよう」とする気持ちは消せません。だから、消そうとはしないのです。
「上がる」と確信するから買う──これは当然のことです。
ただ、どんなに気合いを入れても、その予測が当たったり外れたりするのが現実。
だから、予測に固執することなく柔軟に対応していくのです。
「買いだ!」と思っても、決して決め打ちはしません。
予定数量を3回に分ける「分割」を行います。
1.「買いだ」→3分の1だけ買う
2.「この予測でよさそうだ」→もう3分の1買う(合計3分の2)
3.「上昇基調は壊れていない」→最後の3分の1を買う(合計3分の3、計画の満玉)
確固たる判断を前提に行動しますが、状況は常に流動的……いつでも修正できるようにして進んでいくのです。テニスプレーヤーが、相手のサーブがどこに来ても打ち返せるよう、体を左右に動かしながら構えているのと同じです。
4.「順行」「逆行」の判断がキモ
中源線について、「逆行でトレンド転換を判断する」と説明しました。
ダラダラと下げたあと、クイッと上昇する動きを捉えて「上昇トレンドのスタート」と判断するのです。ただし、非常に敏感なだけに勇み足もあるので、「まずは3分の1」と行動を抑えてバランスを取ります。
さて、私たちプレーヤーは生身の人間なので、感情をなくすことができません。
だから、「まずは3分の1(判断の変更もある)」といっても、とりあえず買ったら、すんなりと上がってほしいと考えるものです。
そこで、「ダメだ」と判断したら潔く損切りできるよう、感情を揺らさない工夫もほしいのです。中源線には、そんな工夫ともいえる部分があります。
下がってきた、逆行して陽転(買いシグナル出現)した、買った──人間の心理として「上がったらうれしい」「下がったらおもしろくない」のですが、そんな感情が望ましくない行動を生みます。機械的な判断があっても、最終判断を下す自分自身が揺れたらおわりです。
だから、当然に起こる上げ下げを、他人事(ひとごと)のように淡々と受け止めたいのです。
中源線では、「上げ」「下げ」という表現を使いません。
「売り」または「買い」という確固たる判断があり、それに対して「順行」または「逆行」と平易に評価するだけなのです。
5.一歩遅れの美学
「当てることを放棄している」
「値動きへの対応にエネルギーを費やす」
「実は、中源線に限らず、すべての売買に共通する必須事項です。
「事前に動きを知りたい──マーケット参加者がこう考えて先回りを試みる結果、株価そのものが先行指標になります。だから、株価の先行指標はなく、予測は当たったり外れたりするのです。
「唯一の方法は、少し遅れて「対応」することです。
「中源線のスタートの「逆行でトレンド転換を判断する」こともそうですし、そのあとに「いける」と判断してポジションを積み増す行動も、「ダメだ」と判断して撤退する行動も、すべて一歩遅れです。
「こう説明すると「一歩遅れか……」と、多くの投資家がすっきり納得してくれないのですが、機械的判断やルールがなければ、行動がもっと大幅に遅れるケースが多いのです。
- 決め打ちして買ったあと「あれっ?」と思っても何もせず、「まずい!」と思っても動けず、買った株は塩漬け
→「さらなる損の可能性」「精神的苦痛」「資金が寝てしまう」の三重苦 - 「動きはじめた?」と思っても「少し下げてから買う」と動かず、さらに上がってから飛びついて苦労する
→不利なのに、ドタバタした結果「期待値」だけは高まる
「二歩、三歩くらいの遅れまではOKです。
四歩、五歩と遅れることが問題なのです。
「したがって、一歩遅れは理想といえます。
「「常に一歩遅れる。でも確実に行動する」という、大切だと認識しながらも抵抗のある行動を、中源線のルールがあと押ししてくれます。冒頭で述べた、「うねり取りのハードルを下げる」効果です。
6.計画性
これまで説明してきたことを、私は「計画的な売買」と呼んでいます。
一般に「計画的」というと、「動きを予測して当てる」ことを想像しがちですが、そんな希望を捨てることが第一歩です。
では、先が読めないことを前提とした計画とは?
前項で述べた「一歩遅れ」の対応です。
1.「こうきたら、こう動く」と決めておく
2.それを確実に実行できるようにしておく
相手である株価が、全く不可解な動きをみせます。
だからこそ、どう動いても対処できるように、“一歩遅れ”の行動を計画しておくのです。
7.シンプルなルールが示すもの
中源線では、終値だけを直線で結んだ「折れ線チャート」を使います。
余分な情報を排除したシンプルなチャートには、「順行」「逆行」のジグザグで値動きが表現されます。その動きをシンプルにパターン分析するのが、中源線建玉法です。
こういった説明に対して、「なにか足りないのでは……」と感じる人も多いでしょう。
でも、それは「当てよう」という発想によるものです。
もちろん、考えられるかぎりの条件を重ね合わせれば予測の的中率は上がると思いますが、前述した「一歩遅れの対応」が不要になるほど高い確率で当たる数式なんて生み出せません。それが可能ならば、優秀な数学者か経済学者が、とっくの昔に考案してボロ儲けした結果、すべての金融マーケットが崩壊しているはずです。
プロの道具は、どんな分野でも、とてもシンプルです。
子どもだましの機能は、すべて排除されているものです。
ムリに予測の的中率を求めると、偶然の要素が多い売買(トレード)のなかで、結果を正しく評価することができなくなります。つまり、「なぜ勝ったか」「なぜ負けたか」を把握できない状況に陥ります。
シンプルで、常に内容を理解できる、すなわち個人的な感覚を捨てずにコントロールすることが可能──中源線の優れた部分です。
ルールはすべて公開しています。そしてシンプル……いわゆる「ブラックボックス」が発生することがありません。
単に「儲かった」「ダメだった」と一喜一憂しておわりではなく、売買(トレード)の実行力が向上していくツールなのです。
8.中源線を知る方法
今回は、「うねり取り」の解説を通じて、売買(トレード)の本質的な部分を言葉にすることに注力しました。
「中源線について、もう少し情報を……」という場合は、以下のものをご覧ください。
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