「情報化社会」という言葉が使われはじめて久しく、ここ20年はインターネットの普及によって、個人でも多くの情報にアクセスできるようになりました。
もともと相場の世界は、超情報化社会。
電話だけの時代でも、実にスピーディーに情報が伝達されていました。
現在は、上場銘柄数も多く、情報は無数に飛び交い、国境のハードルも低くなって投資先はいくらでもある──「今日買う銘柄」で悩む前に、「情報の捉え方」を考えてみることが重要です。
個々の情報が、個人投資家の株式投資にとって「役立つ」か「害となる」か……。
こんなアプローチをしてみました。
Contents
後編 役立つ情報の選び方・つくり方
9.プロは「予測」に何を足すか
「銘柄情報だけではダメ」と述べました。
でも、否定だけでは行動が決まりません。
確固たる行動のために、「なにに着目すればいいのか」を考えましょう。
株式投資・トレード・相場・売買……スタイルによって呼び方は異なりますが、「マーケットの競争下で行動して利益を上げる」という狙いは同じです。しかし、いくら現実の的中率は50%を大きく超えません。逆に、サイコロをころがしても50%当たるのですが……。
50%の確率に賭けるのはリスキーです。
そもそも、「株価の上下を予測して、はいアタリ、はいハズレ」と判定されるゲームではありません。
予測は必ず必要です。
予測がなければ、行動はゼロのままですから。
でも、予測をもとにスタートしたあと、状況を見て対応するのが現実です。
・ 「上がる」と予測して買ったあと、見込みどおりに上がったらどうするのか?
・ いつまでねばるのか? どこで利食い手仕舞いして離脱するのか?
・ 見込み違いだったら? その判断基準は?
「雨は降らない」と予測してカサを持たずに出かけた結果、雨が降ってきた……見込み違いですが、仕方がないとズブ濡れで歩く人はいません。これと全く同じことです。
10.「手法」という発想
「銘柄情報だけではダメ」と述べました。
でも、否定だけでは行動が決まりません。
確固たる行動のために、「なにに着目すればいいのか」を考えましょう。
株式投資・トレード・相場・売買……スタイルによって呼び方は異なりますが、「マーケットの競争下で行動して利益を上げる」という狙いは同じです。しかし、いくら現実の的中率は50%を大きく超えません。逆に、サイコロをころがしても50%当たるのですが……。
50%の確率に賭けるのはリスキーです。
そもそも、「株価の上下を予測して、はいアタリ、はいハズレ」と判定されるゲームではありません。
予測は必ず必要です。
予測がなければ、行動はゼロのままですから。
でも、予測をもとにスタートしたあと、状況を見て対応するのが現実です。
・ 「上がる」と予測して買ったあと、見込みどおりに上がったらどうするのか?
・ いつまでねばるのか? どこで利食い手仕舞いして離脱するのか?
・ 見込み違いだったら? その判断基準は?
「雨は降らない」と予測してカサを持たずに出かけた結果、雨が降ってきた……見込み違いですが、仕方がないとズブ濡れで歩く人はいません。これと全く同じことです。
11.「なに」ではなく「どう」が優先
大切な部分に目を向けるため、「銘柄情報」を排除してみましょう。
銘柄はひとつ、日経平均でもソフトバンクグループでも、サッポロホールディングスでも、とにかく売買対象はひとつだけ、という状況を想像してみます。
「なに」(どの銘柄がいいか)という選択はないので、「どう」(どんなふうに売買するか)ということ、つまり前項で述べた「対応」を考えるしかありません。
この状況でも「上か下か」の二者択一は可能ですが、落ち着いて考えると、いろいろな発想が生まれます。
- いつもポジションを持つのはムリかも
→難しい局面をスキップしようか - 状況は一瞬で変化するなあ
→数量を増減させて対応できないだろうか - 上げと下げ、どちらが取りやすいだろうか
→上げだけを狙うか、下げだけを狙うか(カラ売り)、両方やるか
私が提唱する、「対応」を軸としたイメージにグッと近づきます。
でも、これらの言葉をよく見ると、「難しい局面」を判断するとか「狙う」とか、予測法の要素がしっかりあることがわかります。
ちまたの銘柄情報は、誰もが直面する現実を無視したものです。
だから、実践的な予測とは別もの、とても異質なものなのです。
12.常に「BUT」
ここまで述べてきたように、出会った情報について、少し角度を変えて考えてみると異なる一面が見えます。
こうした姿勢を習慣にすれば、うっかり錯覚に陥ったり、特殊な意図のある恣意的な情報に惑わされることが格段に減るはずです。
基本は、「ホント?」と疑う姿勢、頭の中でディベートを模して反論してみることです。
どんな情報に対しても、「BUT」(しかし、だけど)で言い返してみるのです。
すぐに「この情報はよくない」と気づくかもしれません。
どうやっても否定しきれない、論破できないときは、その情報の価値を認識できるだけでなく、「なにが、どう有益なのか」が明確な言葉になります。
13.好きか嫌いか
情報の評価、取捨選択、複数の情報から自分の売買を決めるプロセス……「相場は売りと買いの2つしかない」といわれますが、なかなか複雑なことを考える必要があります。
入手した情報に「BUT」で反論してみたりするうちに手に負えなくなり、いつしか「当たる銘柄情報はどれだ?」なんて路線に、逆戻りしてしまう可能性もあります。
身近なもので考えてみましょう。
理想の家、理想の旅行、理想の結婚相手……どれをとっても、万人が満足する答えはありません。
売買・トレード・株式投資は、複雑な思考を求められる、きわめて個人的な作業なのですから、本当の正解さがしは「好き嫌い」が基準になるはずです。「ワクワク感があるか」なんて基準でもいいでしょう。決して安っぽいことではなく、とても自然なアプローチです。
どれを選ぶかではなく、「選んだものを、長く、楽しみながら追究していけるかどうか」が重要だからです。
14.不合理・不器用が前提
情報を多角的に考察し、好き嫌いを軸に自分の道を決める──。
プレーヤーとしての正しい姿勢が固まってきましたが、カネの増減という切実な問題があるので、「当てたい」という気持ちでギリギリまで攻めてしまう、ついムリをしてしまう……。こうして、株式投資における致命的なミスを呼びます。
複雑な思考をこなす半面、錯覚もあるというのが、私たち人間の特性です。
ミスをするのは、高い能力の裏返しなのです。
たとえ自分が器用だという自負があったとしても、“思いきり不器用”な人をイメージして、「そんな人でも大丈夫」な行動指針を基本とするべきです。
電車の運転士も飛行機のパイロットも、訓練を積んで仕事をしていますが、「それでもミスをする」ことを前提に運行(運航)を考えます。「そのミスをゼロにする」ために、幼稚とも思えるチェックマニュアルを使います。
個人の株式投資のような単独作業は、「大丈夫」との気持ちから雑になりがちです。
自分自身を監視する“もうひとりの自分”を設定して、売買行動の質がガクンと下がることがないレベル、やさしい範囲にとどめる勇気は欠かせません。
15.相場本の正しい選び方
相場の勉強をするうえで、「どの本が適切か?」という質問をもらうことがあります。
実は、ありとあらゆる相場本の内容を把握していたとしても、この問いに答えるのは難しいのです。
好き嫌いが軸として重要ということは、単純に「よいわるい」を決めることができない、2つの考え方を比較して優劣をつけることもできないからです。
結論として、相場本の正しい選び方は……「目についたものを読んでみる」でしょう。
いいかげんなことを言っているのではありません。
目についた=なにか気になるものがある、ということですから、それが読むべき本ではないかという論理です。
ただ、売買の実践と同じで、読み方、読んだあとの対応が重要だと思います。
読む前に「自分の狙い」を決めるのです。「この本を読むと、疑問の○○がクリアーになる」といったゴール設定ですね。
これがあると、期待どおりの内容でなかった場合でも、新たな発見(役立つ情報)か、単なる雑音(害となる情報)かを落ち着いて評価することができます。
「クソ本だ!」と感じたときも、あらかじめ考えた狙いがあれば、なぜ内容に不満なのか、足りないものは何かなどと思考が働き、単なる残念な感情に左右されるのではなく、貴重な経験と知識が残ります。
16.狙いを定める
株式市場では日々、いろいろな銘柄の価格が大きく変動しています。
場当たり的、スポーツ記事的な情報が飛び交うのも、当然のことです。
そんななか、独自の感性で「手法」を定めて売買に臨もう──これが、私からの提案です。
あらためて身近なもの、ラーメンにたとえてみます。
ラーメンといっても多種多様、昭和風のシンプルなもの、最近の進化したラーメン、本格中華料理店のラーメンなど、大ざっぱなジャンル分けさえ難しいくらいです。
でも、「ラーメンを食べたい」と思いついただけで、ある程度のところまで絞り込んでいると思います。どの路線にするかはおおむね決まっていて、あとは自分の好みで狙いはだいたい定まります。少なくとも、「どのラーメンが正解か……」と悩んでしまう人はいないでしょう。投資初心者のように「どの銘柄が上がるか?」なんて目をドルマークにして情報探しをする──そんなこともなくラーメン店を決めるはずです。
どの路線にするかが、株式投資における「手法」です。
その手法によってザックリと対象銘柄が絞られ、その手法に慣れて追究することで、自分の好みが明確になります。最終的には、選んだ銘柄の値動きを見て、最も大切な「対応」に集中することができます。
こんなイメージを納得できれば、無垢な投資家を惑わすだけの銘柄情報とは決別です。
17.自己責任とは
株式投資は自己責任──。
はい、そのとおりです。
でも「自己責任」という言葉を、どんなふうに捉えますか?
よく使われる事例を考えると、「言うとおり、規則通りにしておけば安心です。結果も上々ですよ」と思わせておいたのに、そう思わせた側の人間が突然に「自己責任です」と逃げる……こんな状況を非難して「自己責任とはなんだ!」って憤るケースが多いようです。
しかし本来、すべての行動が責任を伴うのは当然です。
自己責任とは、「うまくいったら儲けはすべて自分のもの」「損も自分がかぶる」という、実に当たり前のことを示しているにすぎません。
とくに株式市場は、最低限の取引ルールを守りさえすれば、いくら儲けても非難されません。実現した利益から税金を払った残りは、すべて自分のものです。肩の力を抜いて、「自分が株式市場をどう利用するか」を考えましょう。
18.株式投資の核心が見えた
株式市場で価格がついている、ということは、真剣に「買いだ」と思っている人と、確信をもって「売りだ」と判断した人が同様に存在するわけです。
だから、絶対的な答えを期待させる「診断」なんて不可能で、きわめて個人的な価値観による「判断」があるだけなのです。そして、誰が何を持ちだしても、的中率は常に50%……。
すでに述べたように、「買った。上がった」のあと、どうするか。「上がると思って買ったのに下がりそう」と感じたらどうするか──独自の判断・決断と行動が、ずっと継続するのです。
情報も同じです。
株価という単純な情報もあれば、「強い」とか「弱い」など価値判断が付加された情報もあります。それを見聞きして評価すれば、脳内に新たな情報が生まれます。それをもとに行動した結果が次の情報で、それを受け止めて次の最新情報が……無限連鎖です。
株式投資の王道は、「自分のなかで情報をコントロールすること」なのです。
19.お手本はどこだ?
実践論の終着点として、林投資研究所は、「相場技術論」を支持します。
他人の情報に頼らず、ムリに当てようともせず、常に“次の一手”を考えて対応することで、どうにか利益を得ようとする実践的な試みです。
この考えに基づいて、以下に挙げるような投資手法を提唱しています。
ペン習字のお手本のように、ひとつの完成形を「なぞってみる」、自分自身を一定期間「型にはめてみる」のが、間違いのない進み方です。
もちろん、世の中には、あなたにもっと合う“お手本”があり得ます。
今回示したことをヒントに、上手に情報を分析・評価してみてください。
1)FAI投資法
低位株が数年かけて形成する上昇トレンドを狙う、分散投資法です。
ハードルが低くて入りやすい考え方が、29項目のルールにまとめられています。
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2)うねり取り
ちょっと職人的な売買で、銘柄を絞って数カ月単位の上げ下げを往復狙います。
(上げは現物買い、下げは信用取引のカラ売りで取る)
“待ったなし”の部分がありますが、ある意味、とてもシンプルです。
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3)中源線建玉法
うねり取りは判断が難しい……では「値動きを機械的に判断しよう」といういことで、実践者が理想と考える3分割のポジション操作を、単純なルールとして規定したものです。
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